畑にいる時に僕はいつも命を感じます。
土を耕し、種をまき、育てる。ここは新しい命が生まれる場所、そう思っていました。
でもある日、畑の隅に太陽に当たりキラキラと光るものがありました。気になり近づいてみると、そこには1匹のタマムシがいました。動かずとても大人しくしているので、指先でそっと触れてみると何も反応をしません。すでにこの子は息を引き取っていました。触れてみるまで分からないくらいに本当に綺麗なまま眠っていました。
畑は命が生まれる場所そう思っていました。でも命が終わる場所でもあると知りました。亡くなった体はやがて土に還り、土の養分になりまた命を育てる。そうやって命は始まりと終わりがつながっているんですよね。
このタマムシという虫はとても不思議な虫です。命が終わった後でもこの綺麗な羽の色は色褪せません。ずっとずっと残り続けます。
この出会いで感じたことがあります。それは「命が終わった後でも色褪せないものもある」ということ。
きっと人も生きていく中で自分の色をつけていくんだと思います。そしてその色が遺していったものは、たとえ命が終わっても色褪せない。たぶんどんな色でどんなものを遺したのか、自分では分からないと思います。分かるのはきっと出会った人たちがそれぞれ過ごした時間の中で感じてくれるものだと思うんです。
だから僕は思いました。
「せっかく誰かの想い出に残るなら自分らしい色でありたい」
ずっと人に嫌われたり、怒られたりするのが怖くて怯えていた色の無い僕にとって、こう思えたのは本当に大きな1歩でした。
「自分らしく一生懸命に生きたい」そう思わせてくれたこのタマムシは、人生を全うして本当に綺麗に輝いていて、僕の心に新しい「芽」を出させてくれました。
僕はこの出会いもずっと色褪せることなく大切にしていきます。