路地裏の中年

あてどなく歩くのが好きだ。大通りを避け、ちょっと怪しい路地裏を覗いてみる。
運よく、渋い喫茶店や古本屋に出会って感激することもあるが、多くは駐車場だったり、旗竿地に建つ住宅の入り口にたどり着くのがせいぜい。場合によっては、抜け道にさえなっておらず、行き止まりの袋小路。住人の怪しい視線を浴びながら、もと来た道を戻るなんてこともある。だけどそれも楽しい。
そんな路地裏をいろいろ探して歩くのだが、大したものは見つからない。あったとしても他人から見れば何の興味もないものばかり。でも最近気づいたんだ、大通りを目的地へ向かって急いでいるときに限って事故は起こるってこと。
小さな路地で起きていることは日常の延長、洗濯が干してある感覚で、リラックスして楽しめる。極々私的な、つつましき旅を綴ります。

本藤 海プロフィール

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