昨夕、仕事で大田区にある、東京港野鳥公園の近くを通りかかったら、ジーというセミのにぎやかな鳴き声が耳に入ってきた。
今年もいよいよ夏の到来、セミの鳴き声はそれを知らせてくれる存在だ。
わたしにとって、季節の初めと終わりに聞くその声は、なにか特別な思いがする。
街を歩いていると、少しずつ世の中が動き始めたのを実感する。
不安や課題も山積しているけれども、動き出すことで乗り越えるしかないという、希望とあきらめ、焦りが入り混じった現実を誰もが感じ描いているに違いない。
先々週から今週にかけてアップした大塚親徳さんと、中村桃子さん・齋藤さんの連載も、揺れ動く身近な社会の移り変わりをとらえていた。
40年もの長きにわたり、地元の人たちの喉を潤し続けた一軒の酒場を突然襲ったコロナウイルス禍。
わたしたちには想像もつかない苦悩の末に出したであろう、店を閉めるという決断。これからは好きなことを思いきり楽しみたいという店主に悔いはないように見える。
今回の出来事があったからこそ、店主自身、残りの人生をどう過ごすかを考える機会ができたのかもしれない。わたしたちはその思いを尊重し、感謝するしかないのだろう。
7、空気になって、ドボンと漬けて ~ウィズコロナでも〝はだかんぼ〟~
3月の半ばを最後にお預けになっていた立ち呑みの旅。
中村さんと齋藤さんの、いつもと何ら変わらない再会。
訪ねたお気に入りの食堂もいつも通り。気になっていた店主「山崎先生」の小走りする姿も健在だ。
なにも変わらない。でも変わらないことの喜びを噛みしめる。
彼女たちだけでなく、店を切り盛りするご夫婦も同じ思いをしているのかもしれない。
始めること、終わらせること、続けること。
どれにも間違いなどなくて、正しい選択なのだと思いたい。
何よりもいま大切なことは立ち止まり、考え、再び歩き出すことなのかもしれない。
<お知らせ>
Tabistoryで「旅の雑記帳」を連載していただいているTRIPTRACKSさんの写真展が、7月17日(金)より千葉市緑区あすみが丘のカフェ&ギャラリー「NAJA」で開かれます。
お近くにお住まいの方、ご興味のある方はぜひお出かけください。
(お出かけになる際は、マスク着用および少人数での訪問など、新型コロナウイルス対策を各自にてお願いいたします)