家族のために生きるということ


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 小さい頃によく観察をしていたアリの巣。
 最近はあまり見かけなくなった気がします。畑の中を注意しながら探してみるとようやく1つ見つけました。巣穴を忙しそうに出たり入ったりしています。

 アリが出ていった後を追うと自分よりも何倍も大きいバッタの死骸をみんなで運んでいました。本当に少しずつ、でも確実に運んでいきます。アゴで掴み、細い足で踏ん張って本当に一生懸命です。彼らが持ち込むその巣の中には、とても沢山の子どもたちがいます。

 無事に育てるために毎日毎日命がけです。時には他の生き物に襲われたり、雨で流されたり、僕ら人間によって命を落としてしまうこともあります。
 それでも必死に毎日ご飯を運びます。「家族というのは本当に凄い」アリたちの姿を見て心から思いました。

 そして自分の脳裏に浮かんだのは、ここまで育ててくれた両親の姿でした。

 何かと反発してしまっていた、「父」。自分が働くようになって分かったお金を稼ぐことの大変さ。そんな苦労して稼いだお金を自分で使うのではなく、家族のために使う。
「当たり前」そう言う声もあるかもしれません。でも僕は「当たり前じゃない」そう思います。そんな父を直接は言えないけど心から尊敬しています。

 そして自分が何不自由なく日々を過ごし、常に味方でいてくれた母。自分の事は後回しでいつも僕ら兄弟を一番に考え、そして守ってくれました。そんな母をこれからは支えていきたいそう思います。

 今回、この一生懸命に働く彼らに出会えたことで、大切なことを再び思い出すことができました。それは今自分が元気に大人になれたのは一人の力じゃなく、親をはじめ大切な人たちのおかげだと。

「僕もこれからは大切な人たちに少しでも恩返しできるようになろう」
 そう思いました。


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