「昔の名前で何とか……」というヒットした曲がありましたが、スナックや小料理屋さんなど個人でやられているお店には、その人の名前をそのまま店名にしているところが少なくないようです。確かに一番わかりやすいでしょうね?
「おっ、あったあった。ここが洋子の新しい店だ!」という風に、裏町の狭い入り組んだ路地に、新しくお店を出した時には説明しやすいのです。
さて、今や絶滅危惧種にでも指定されそうな女性の名前「○○子」さんのお店。
本日はここにスポットを当てたいと思います。
昔ながらの呑兵衛横丁や親不孝通りと呼ばれた飲み屋街には、○○子という女将の名前がそのまま店名になっていました。その名前は時代を反映するもので、「よし子」「けい子」「まさ子」などなど同じデザイン、同じ大きさの看板がずらーっと並んでいたものです。
その頃、子どもだった私たち同級生の女子も○○子が主流。昭和30年から40年半ばまでは○○子さんが多かったのですね。
そのお母さんの年代がお店をやっていたのでしょう。○○子さんのオンパレードでした。その方たちも引退されてきたこの頃、今の子どもたちは読み方もわからないおしゃれな名前ばかりになり、○○子さんはとても少なくなったようです。
たった一つの看板から、何歳くらいのどんな女性がやっているんだろうな? とか、きっと大きなお店にいるうちに、いいスポンサーでも見つけてこの小さなお店を開いたのだろうなぁ? とか、それとも、男にだまされながらも、女手一つで子どもを育てながら苦労してようやく開いたスナックなのだろうか? きっと、その御嬢さんも一緒に働いているに違いない……とか、想像しながら路地を探索するわけです。勝手なもんです。
今回の女性たちは、広島県三原の美津子さん、東京は赤羽の悦子さん、同じく大井町の洋子さん、調布のひろこさん、東池袋の千鶴子さん、門前仲町のよし子さん、平井の圭子さん、そして静岡は浜松のたかこさんでした。
そして、このあとの世代の「ゆみ」「ゆきえ」「みな」さんなどのお店が増えてくるのです。近い将来、店の名前も女性の名前も区別がつかない時代になると思います。
それはそれで楽しいのですが、願わくは振り仮名をつけていただきたい……と思うのは私だけでしょうか?
こうして一つの女性の名前の看板だけを見ると、何とも面白くもないのですが、集めてみると、なんとなく仕訳が見えてくるわけです。これがコレクションの面白いところです。
とりあえず町を散歩して看板などを集めまくってくると、そのうちに名前にこだわったり数字にこだわったりするようになり、思わず笑ってしまう看板に出くわしたりするわけです。
ただ、東京なども有名繁華街では撮影禁止の店もあったり、プライバシーの問題もあるので、なるべく誰もいない朝方に散歩するようにしています。しかし、朝まで営業している店もあるし、人間にはカメラを向けないで看板だけ撮らせてもらいます。
みなさんありがとうございます。
そして最後の一枚、○○子さんでなく申し訳ありませんが、ご紹介させてください。鶯谷の「おきよ」さん!
これですよ、スナックのママさんは……。ね?