パンダは世界を救う?


 動物というのはかわいいものです。特に子どもは愛くるしく、その親は世話せずにはいられなくなるようにできているらしい。
 かわいい動物の代表といえばパンダということになるでしょうか。身近なペットとして飼われている犬や猫などを除けば、一番愛されている動物かもしれません。
 丸っこい、小さいなどいろいろ理由はあるかもしれませんが、大人になっても変わらない、あの目が曲者ですね。丸くクリクリした目。白目がほとんどない黒い瞳だけの目で見つめられたら、キャーかわいい! なんてことになりますよね。
 実は、私はまだ生きているパンダの本物を見たことはありません。別にわざわざ見に行く気もないけれど、かわいいとは思っています。
 それだけファンがいると、さまざまなキャラクターとしても登場するし、オブジェになって街中に存在するのもうなずけます。
 街をふらふら散歩……いや、収集旅をしていますと、小さな公園にある遊具に目が止まります。コンクリートなどでできた動物たちの滑り台など、何十年と近所の子どもたちに愛され続けてきたのだろう、塗装がはがれてもけなげに頑張り続けるゾウやキリンたちに感動さえ覚えることもあります。

 今回はその中からパンダを集めてみました。

 

  

上野動物園前のポスト

 パンダといえば上野動物園ですから、郵便局もその人気にあやかろうということでしょう。四角形のパンダポストはかわいいですね。
 パンダといえば白と黒だし、たれ目にすれば誰でもパンダだとわかってくれる実に楽しく利用されやすい動物です。都会の普通のポストはいたずら書きされたり、ステッカーやシールをべたべた張られたりと、悲惨な姿になっているのが多いのですが、さすがこのパンダポストには、そんな人はいないようで、とてもきれいな状態を保っています。まぁ、子どもも見ているでしょうから、乱暴な若者も勇気がなくてできないでしょうね。

 

  

金町の薬屋さん

 このパンダのキャラクターも街でよく見かけますね。薬屋さんの前のゾウさんやカエルさんの数には及びませんが、漢方薬を置いているお店には多いようです。
 漢方といえば中国ですからね。当然といえば当然のお仕事。やはりこのくらい頭を大きくデザインするとかわいらしさがアップします。もっと大きくすればそのままユルキャラになりそうです。
 しかし、こうしてパンダが氾濫してしている割にはユルキャラを見かけない。中国というイメージが強いので、なかなか使えないのでしょうか……。

 

 

横浜中華街

 中国といえば中華街ですから、これも当然。お店の入り口がそのままパンダの顔です。
 中華街ではパンダキャラクターのグッズを堂々と販売しているのでしょう。キティちゃんもパンダのぬいぐるみを着ているようです。中華街であるからこそ成り立つお店のデザインです。
 あと発見するとなれば上野の街くらいでしょうか。新宿や池袋では、よほどパンダにこだわったお店でも作れないと思います。

 

岩槻の公園

岩槻の公園

 いよいよ公園のパンダです。ここは埼玉県岩槻市の小さな公園です。子どもが乗ってゆらゆら揺れる遊具です。なかなかかわいらしくデザインされています。目の形がいいですね。
 さすが日本です。横には遊ぶ時のさまざまな注意が書かれた、赤いシールが張られています。落ちてけがをしたりすると、なんでもかんでも設置した側に責任があるように言われる時代ですから、始めからちゃんと注意書きをしていましたよっていうことなんでしょうね。
 当然、体重のある大人の私は乗ることができません、私が子どものころはこういった遊具はありませんでしたから、一度でいいから乗って揺れてみたいんですよ。

 

千葉県・水仙の名所の公園

千葉県・水仙の名所の公園

 これはかなり丈夫ですから、私のような大人が乗っても大丈夫です。注意書きもありません。
 ところどころはげた場所がありますが、かわいらしさは保たれています。肩と背中に細かいヒビが見えますが、長い間働いてきた証です。勲章のようなものです。

 

  

新宿区・四谷愛住公園

 これも乗って揺れるパンダ。口にくわえた白い棒に落っこちないようにつかまってくださいねっていうコンセプトです。
 つまりパンダのお腹に乗って顔を見合わせながら楽しく遊ぶようです。なんとなくはた目にはその姿はいじめにも見えなくもないですが。やはりおじさんは利用しない方がいいようです。 
 ちなみにこのパンダのしっぽは白でした。

 

 

台東区内の公園

 パンダゆかりの台東区ですが、今度は座る場所がお腹じゃない。ちゃんと場所を作ったからね。ここに大人しく座ってね! というタイプ。パンダさんと手をつなぐような形で棒につかまって、ゆらゆら揺れましょう。
 丸っこいイメージのパンダですが、ここのパンダは薄っぺらで、横から見るとちょっと薄気味悪いのです。

 

 

千葉・東金市内の公園

 パンダなのですが、かわいらしくするには目玉を大きく書けばいいのかといえば、そんなことはないわけで、限度もあるわけです。どうせだったら大きい黒目の白い縁取りはない方がかわいいのではないのか――?
 塗装し直す度に、少しずつ大きくなったのでしょうか。黒いスプレーで目の全体を塗装してから、白で縁取りをした苦労がしのばれます。

 

 

葛飾区・堀切の公園その1  

 これも揺れるタイプですが、このパンダも怖いですね?
 白い縁取りが太すぎますね? ぎょろめを向いているようにも見えますが、なかなか印象的なパンダです。
 頭の黄色い取っ手がチャームポイントです。

  
 さて本日の主役の登場です。堀切にある別な公園です。たぶんこれに勝るパンダはいないでしょう。

 

緑パンダ 


 

赤パンダ


 

黒パンダ


 このトリオは最強です。本家の中国にもさすがにいないと思われます。「シェー!」をする緑、赤、黒のパンダ三兄弟です。
 故・赤塚不二夫大先生の傑作まんが「おそ松くん」に登場するイヤミの名ポーズですが、50年も前の話なので、リアルに知っている人はもう少ないのかもしれません。
 当時、私は現役小学生でしたから、学校ではみんなで「シェー!」していたものです。若い人たちは知らないでしょうね?
 しかし、私が小学校のころにパンダを採用し、しかもシェーをさせるのもすごい。まぁ、ゴジラも映画でシェーをしていた時代ですから、受けを狙ってポーズさせたのも分かる気がします。
 それにしてもこの色ですよ。よく塗りましたね。この時の公園課の担当の人はかなり勇気のある人だったんでしょうね。
 3匹のパンダを並べる時に、白黒のパンダじゃつまらないなぁ、もう少しかわいらしく、親しまれるようにしようと業者さんと話し合ったんでしょうか。それにしても目玉が塗られていない、白目ですから。なお一層の不思議さを醸し出しています。素晴らしい傑作だと思います。ぜひ見学に行ってみてください。

 
 中国の親善大使のパンダがこんなに愛されている日本です。世間では何かと問題があるようですが、この際これだけ愛されている現状を中国の人たちにも知っていただいて、何とか平和を保たれるようにしたいものです。
 このパンダさんたちのようにどちらも白眼視せず、黒い目をしっかり大きく見開いていただいて、仲良く抱っこしたり、抱っこされたり、おんぶしたりおんぶされたり、楽しくやっていきましょう!
 じゃないと、せっかく頑張っているパンダさんたちがかわいそうですよ!

 


同じ連載記事