新たな思いが形になる ――編集ダイアリー2020年7月10日


 昨日、Tabistoryで新たな書き手を得た。
 お一人はイラストレーターのHさん。
 会えばだれでもきっと元気をもらえる、お日様のような存在である。

 絵画教室を主宰しながら、ご自分で絵本を描き続けている。
 驚くのはそのリサーチ力。ある時代を背景とした作品を描こうとしたら、膨大な資料にあたってそのディテールを周辺まで徹底的に調べ上げるのだ。
 そうした本人の理解の上に形づくられた物語は、当然深みも増すし、なによりその時代を生きる人びとを鮮やかに描き出すのである。
 彼女には、時代や場所をほうふつとさせる旅のイラストエッセイをぜひ書いていただきたいと思っている。

 もうお一人は、ある企業組合のAさん。
 数年前にわたしが「人生と道草」で取材した山谷周辺の街。わたしが最後に訪れた医療の相談会と炊き出しで知り合った方である。
 野宿者や失業者などの自立を手助けするために立ち上げた企業組合。リサイクルショップや便利屋業を中心に活動をしているが、時代とともにその役割も変わってきている。
 今年春にはクラウドファンディングを活用し、「資源買取とカフェ」というユニークな組み合わせの食堂をオープン。さまざまな人びとが集まる地域共生のシンボルとなりつつある。
 Aさんには、この店の日々の出来事を書いていただく予定だ。

 お二人とも、お忙しい合間を縫っての原稿執筆になると思うととても心ぐるしいのだが、その一方でそれぞれの思いが形となる瞬間に立ち会えるのは、何よりも素晴らしいことだし、ワクワクしてしまう。

 

 


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