根無草に根は生えるのか ――編集ダイアリー2020年5月20日


ようやく仕事が終わった。
この時期にありがたい、5000部の冊子の制作の入稿を終えることができた。

いつもなら、一杯引っかけて……という気持ちにもなるけれど、受け入れてくれる店もほとんどない。

ならばと諦めて電車に乗るのだが、ガラガラの電車ゆえ妙に心から落ち着くのか、こんどは霧の晴れないような将来のことが案じられてくる。

持続化給付金は申請した。
政策金融公庫にも融資の申し込みをした。
あと、どこに融資の相談をしようか……ああ、そうだったなどと、そんなことばかり考えている。
でも、そこに悲壮感はない。

もともと、なんとかなるだろう的な人生を送ってきたので、一瞬、不安のどん底に突き落とされはするが、気がつけば起死回生のストーリーを自分で思い描きながら、気がつけばちゃちゃっと浮上している。

例えるとしたらなんだろう、考えて思いついた言葉が「根無草」だった。
自分で自分をイメージして出てきた言葉がこれ……。
なんだか悲しい。
いい意味も多少は含まれていたりしないか、スマホで検索するが、余計悲しくなって画面を閉じた。

どん底に突き落とされた思いで、いま、根無草のいいところを探している。


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