わたしはきっと悪くない ――編集ダイアリー2020年6月3日


 最近、パソコンが思いっきり遅くなって辟易している。
 自宅にある1台と、湯島の事務所にある2台のパソコンがほぼ同時に遅くなった。

 考えられるのはWindowsOSとアプリのせいである。
 特にAdobeのCleativeCloudはもう泣くのを通り越して笑ってしまうレベルだ。
 タスクマネージャーを見ると、CPU使用率の上位にはなんだか分からないAdobeのアプリが行列をなし、わたしの行く手をさえぎるのだ。

 そして、とうとうInDesignをはじめ、イラレ、フォトショップなど、Adobeのソフトを立ち上げた瞬間に強制終了するというオカルト的現象が発生し、何も作業できない日が続いた。

 ネットを検索しながら出来る限りの対策をしてみる。時々気まぐれに機嫌を取り戻してくれることがあるが、全くあてにならない。
 たぶんAdobeオバケが、メモリを異常に消費しているのだろう。

 そんな出来事が続いて、あやうく入稿に間に合わなくなるところまで行ったのだ。
 わたしはAdobeにありとあらゆる非難と罵声と呪いの言葉をかけ続けた。
 そして最後はなんとか動いてくださいと、心から祈りのような叫びを発したのだった。

 やがて、急にそういう現象が起きなくなった。はっきりした理由は不明だが、おそらくWindowsかAdobe側に何か問題があったのだろう。何かしらのアップデートが行われたのは間違いなかった。
 悪霊はひとまず退散したようだ。

 確かにソフトばかり責めるのも酷な気もする。
 ノートパソコンも、7年も使い込むと澱のようなものが溜まっていく。人間のようだ。
 不要な設定ファイルやドキュメント、使わなくなったソフトなど、全てが遅くなる原因になるのだろう。

 しかし、パソコンが遅いせいで仕事が進まないほど無意味なことはない。
 仕事を効率よく進めるために導入したパソコンが遅くて自分の足を引っ張られるなんて、どうしても許せないではないか!

 仕事が進まないだけではない、イライラ、カリカリして精神衛生上もよくない。
 ならばいっそのことパソコンを買い換えようと思いはじめた。
 そして初めてのリース契約を検討している。
 リースなら定期的に最新のスペックの機種に交換できるし、何より余計なデータを溜め込むことがなくなるような気がするのである。

 今いちばんの悩みはデスクトップ上に溜まりに溜まったファイルやフォルダの整理だ。
 ノートパソコン本体のモニタと拡張用の液晶モニタを埋めつくしそうな勢いなのである。

 これを整理して……あら。
 もしかしたら速くなったりする?

 いいえ。
 すべての責任はMicrosoftとAdobeということにしておくのが精神衛生上最もよい。

 

 


同じ連載記事