眠る前のひととき ――編集ダイアリー2020年6月29日


 昨夜はバスの乗務を終えて家に戻ったのが夜中の2時半前、明日の準備をし、コップ一杯の麦茶を飲んで床に就いた。

 今朝、すっきりして目が覚める。
 それは最後に飲んだ麦茶のせいではない。きっとスマホを見ずに寝たからに違いない。

 よろしくないとは思いつつも、布団に入りスマホを見る。
 不思議なことに、ツイッターやニュースサイトで心がざわつくような情報を漁っている自分がいるのだ。

 心落ち着かせて眠りにつく前に、欲望渦巻く人びとの誘いの言葉や、事故事件のニュースを見て、精神にとって一つも良いことなどないではないか!

 そう分かっていても(分かっていない?)見てしまうのは、やはり習慣の恐ろしさと、いつ時でも社会とつながっていたいという不安から来ているのかもしれない。

 昔、寝る前には決まって本を読んでいた時があったが、その習慣をやめてしまったのはいつのことだろう。
 そう考えてみるとずいぶんと昔のことのように思える。
 なにか代わりのものが出来たのではなく、心の余裕がなくなってしまったのだ。ほんとうは、きっと。

 こういう時代だからこそ、眠りにつく前に1冊の本を手に取り、たとえわずかな時間でも日常と離れた世界に没入する。
 思いもよらぬ人間観、世界観と出くわし、自分と向き合い、何かが心の中に生まれていく。
 最高の贅沢かもしれない。

 一日の中に「読書」という時間を作れる人をわたしは心からうらやましく思う。
 わたしの身近にもそういう人がいる。
 こういう人間こそ、強く生きられるのかもしれない――黙々と本を読む姿を見ていて思う。
 そして、そっと尊敬している。

 今夜は本を読もう。

 

 


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