イスをどうぞ ――編集ダイアリー2020年7月1日


 今日は前から気になることを書いてみたい。

 唐突だが、わたしは昔から外でバッグや荷物を足元の床に置くのが好きではない。
 それらが汚れるのはもちろんだけれど、汚れた気がするのも嫌だ。
 そのような荷物を家に持ち込むのはもっと嫌である。

 仮に床がきれいに掃除されていたとしても、土足で歩き回る場所に直接自分の持ち物が接触するのは生理的にどうしても許せないのだ。
 でも、世の中を見回してみると、結構平気な人が多い。
 電車の中で足元にバッグ類を置くのは序の口。さらにはスーパーで自分たちが食べる食料品の入った買い物かごを店の床に置く人がいる。驚きである。
 わたしが神経質なだけなのだろうか。

 土足で出入りする場所にはコロナウイルスが持ち込まれる可能性が高いとも聞いた。
 この時勢で結構気にする人が増えるかなと思っていたが、依然見かける状況に変わりはなさそうである。

 わたしは出先でバッグを床にしか置けない状況があると、とても気になってしまう。
 今でこそ慣れた、というより諦めたのだけれど、立ち飲み酒場などでは、床しか荷物を置く場所がないところがけっこう多い。
 床が磨かれていてきれいならなんとか我慢できるのだが、バッグを置こうとする床のあちこちにテーブルからこぼれ落ちた食べ物が転がっていたりすると、何を食べても飲んでも心から楽しめない気がしてしまうのだ。

 わたしの事務所にはイスがたくさん用意してある。
 数えてみたら狭い事務所に14脚もあった。
 わたしにとって、イスは座るだけのものではない。荷物を置くためのものでもある。

 ミーティングテーブルには、お客さんが荷物を置けるようにイスを多めに出してある。
 自分が嫌いなことは、ほかの人だって嫌なはずだと思っての配慮なのだが、それでもバッグを床に置く人がいる。それ以上促すことはしないが、少々悲しくも思ってしまう。
 ぜひ当社へお越しの際は、遠慮なくイスを活用していただきたい。

 でも、いつも地面に置いているバッグをイスに置かれたら、イスが汚れるのでは?
という鋭いツッコミには、
「愛情をもって受け入れたい」
といちおう答えておく。

 

 


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