真夜中の道草 ――編集ダイアリー2020年7月21日


 旅どころか、最近道草らしい道草をしていない。

 ここに来て初めて道草程度の放浪も心の安定にはやはり欠かせなかったのだと知る。
 わたしがやってきたことは確かに意味のあることなのだと思うと、勇気が湧いてきた。

 しかし、道草を是とするわたし自身が、気がつけばそれを避けているなんて。
 とても悲しく、少し情けない。

 そこで、バスの仕事帰りに自家用車でちょこちょこといつもと違う道を走り始めた。
 そうはいっても帰るのはいつも夜中の1時過ぎ。
 寝る時間は少しでも多く取りたいし、知らない道をウロウロして怪しまれるのも嫌だし、結局は過去に走ったことのある道を通ってコースのバリエーションを楽しんでいるだけなのだが、なんとなく気が晴れる。

 そして、気がつけば回り道の先はそれなりに思い出がある場所だったりして、景色の代わり映えに目を凝らしたりしている。

 真夜中の渋滞知らずの通りをクルマで走るのは快適だ。
 だからなおさら通過するだけではやっぱり物足りないなあとは思う。

 でも今はせめてもの贅沢だと言い聞かせる。
 今度はどこへ寄り道してみようか。

 

 


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