日本各地には動物などの生き物と関係した地名などがたくさんあります。
家畜などの親しみのある動物から昔話に出てくる動物など、それだけ人間の生活に密着してきたんでしょうね? 長い間駅名やバス停に至るまでたくさんあります。ちょっと怖いものもありますよ。
岩手県の「鯔崎」トドガサキ、本州の最東端という場所です。
そこには灯台がありますがそこまでは結構な山道を歩きます。海のアルプスと呼ばれるリアス海岸ですから、眺めも良いのですが道は厳しいです。
トドはアシカの仲間ですがかなり大きく、それだけ食べる量も多いので漁師さん方からは嫌われている害獣なそうです。北海道にはトド肉の缶詰があったような気がします。
写真2・海の生き物で親しまれている「蟹」です。
小さい物から大きいものまで食用にされたり昔話に出てきたり、カニを知らない人はいないでしょう。
千葉の養老渓谷近くの「カニ取橋」というバス停、いいでしょう? ここは山の中ですから川や沢に住む蟹をとっていた場所なんでしょうね。
たとえバスが通わなくなってバス停が不要になったとしてもこれだけは残してほしいものです。
写真3・カニとくればライバルはエビ! 人間が食用としている量はこちらのエビの方が多いかもしれません。
ここも茨城県は筑西市ですから、エビと言ってもカワエビかもしれませんね。
こういう表示方式で集落の名前を表示してくれると、収集する者にとっては大助かりなのです。茨城県には市によっても違いますが、比較的多いような気がします。
写真4・やはり昔から食用にされてきた生物はそれだけ地名になるものが多いのでしょうか。
能登半島を収集ドライブしているときに偶然見つけました、うれしかったです。しかしその後も楽しい名前が出てくる出てくる珍名の宝庫ですね?
しかもバス停の文字がはっきりくっきりで目立っていいのです。読みやすくて助かります。「蛸」ですからね? ほかにはなかなかないと思いますよ。
写真5・今回取り上げた生物は鳥や魚を入れておりません。ではこの「鰐川」は?
日本に鰐はいません、昔は鮫のことをワニと呼んでいたといいます。じゃあこれは次の魚の時に紹介するべき! と思う方がいると思いますが、ワニと言えばやはりわたしとしては爬虫類のワニを連想するわけでして、私のコレクションですからこれはこれでよいのです。
しかも青森に「鮫」がありますので、取っておかなくてはなりません。同じ青森県に大鰐という町もあります。
写真6・これも日本にいませんが獅子「ライオン」です。
生息していませんが、絵画や彫刻にたくさん存在する獅子です。昔の芸術家たちは想像して描いたんでしょう、偉いものです。
地名としてはさほど残っていないと思います。獅子舞など郷土芸能にも登場しますが、鹿踊りであって中国が元祖なのでしょう。金歯ギラギラで子どもたちの頭を噛んでくれる獅子舞ははライオンなのでしょうね?
写真7・百獣の王ライオンのライバルはトラですね?
こちらのほうは歴史は古いのでしょうね。雷様も虎のパンツをはきますし、もちろん絵画や彫刻でいなじみ、ライオンよりはリアルな気がします。
毛皮などの現物も昔からお金持ちの象徴、ま、私はお金持ちになってもいりませんけどね。
でも宝物ですから、コレクションにどうぞ、とくれる人がいたらどうしよう。少し悩んでもらっちゃうかな? という、いい加減なコレクターなのでした。
あと、虎のつく地名として日本一有名なのは東京の「虎ノ門」です。
写真8・好き嫌いを問われれば圧倒的に嫌いな人が多い爬虫類、その中でもトップは蛇でしょうね?
体が大きいだけに住宅地でも見かける機会も多いですからね。私は少数派で彼らは突然現れない限り大丈夫なのです。
嫌いな人、乱暴な人は発見すると殺す人がいます(田舎の話です)。私はその場に出くわすと、それを阻止して手で捕まえては袋に入れて、山で逃がします。
何匹助けたか分かりませんが、今だ「恩返し」はありません。この大蛇は千葉県佐倉市の住宅地です。大蛇のいるような山を宅地開発したのかもしれません。
願わくはここで運悪く発見された蛇は、住民の皆様から助けられることを願っております。
写真9・普通の獣というより、宗教的にかなり全国においなりさんのシンボルとして大活躍の狐ですが、地名になってちらほら存在します。
千葉の内房、超有名な竹岡式ラーメン屋さんの近くの踏切「白狐」。いいですよね?
「おうちはどこですか」
「はい、その先の白狐の踏切の先です!」
なんて会話がされていたら素敵じゃないですか。
写真10・狐とくればこれでしょう?
茨城県つくばみらい市の「狸渕」。この狸さんは昔話などの影響か、狐ほど悪さをするわけでもなく何となくユーモアもあり、人里近くに現在でもやってくるので地名も多いのでしょう。また、アナグマとも区別されず「マミ」などと呼ばれたりするので、その数は増えているのかと思われます。
写真11・そのタヌキやキツネよりは恐ろしくもあり、また山の神様のような扱いもされているのが狼。オイヌサマとも呼ばれますが、それこそ昔話で人を襲ったりと人さまからは怖がられてきました。
実際は人などを襲うことはないそうですね。まぁあの遠吠えなどが恐ろしいですから、かわいそうです。ここは「ノロシ」能登半島の先っぽ、灯台の麓の町のバス停です。ノロシと灯台です。
写真12・狼より恐れられ、実際に現在でも人が襲われ死亡する事件も多いのが熊。
本州ではツキノワグマですが、人間の生活とのバランスが問い直されています。
被害があったからといって、すぐ捕まえて殺したりなどしないような人間世界にはならないものでしょうか?
ここは福島県、震災の後の原発事故で現在も戻って来られない方々がいっぱいいる地域です。岩手に帰る途中の国道で、車内から撮影させていただきました。
動物名、しかもズバリ一文字。こんな素晴らしい地名は多くありません。はやく人も熊も普段の生活が戻ってくれればいいですね。
写真13・昔から親しまれてきたといえばこのお猿さんですね?
温泉に入ったり山野峠に出てきたり、観光地にもなったりで大活躍のニホンザルです。
ここは千葉の市原。確かに広い面積で山も多いのですが、「猿袋」とはなにやら深い理由もありそうですが、そんなことまでは調べずに、さっさと数をコレクションすることに専念します。
写真14・猿と一緒に昔話にも登場するウサギ。愛らしい今はペットとして飼われていますが、これも農家にとっては害獣のひとつ。毛皮を売るため昔の少年は小遣い稼ぎによくワナを作って捕まえました。
もちろんその肉は食べられるわけです。ここの「兎渡路」、有名なアニメのタイトルになりそうですが「トドロ」だそうです。おしかったなぁ。
写真15・ウサギと言えば次は「カメ」ですね?
福島県の田人町の「亀の江」です。各地の沼や川、水田に多く住んでいる古来から住む石亀は減っているそうですが、雨上がりの道路を歩く亀をよく見かけます。
写真16・八犬伝で有名な房総半島ですから、犬にちなんだ地名らしきものが千葉県にはたくさんあります。
これはその本場、舘山の犬石というバス停です。ほかの地方ではあまりないない地名だと思います。親しまれて昔話にもよく登場しますね。人気者の犬です。
写真17・犬ほど人に飼われてきた歴史がないという猫ですが、農業国の日本は穀物をネズミから守るために重宝されてきた大切な動物です。
福島のこの「猫啼」のバス停、何やら妖怪でも出てきそうな雰囲気を醸し出す名前ですね。ただの飼い猫じゃあないですよ、猫又かはたまた猫娘か? 確かめる勇気はありません。
写真18・各地の地名は干支にちなんだ動物の名前が多く、それに入らなかった猫は13番目ともいわれます。
畑を荒らす猪は嫌われても、やっぱり干支の大切な動物です。茨城県の牛久「猪子町」です。「イノコ」であって、決して御猪口町という酒好きばかりいる町ではないと思います。
写真19・猪を改良して家畜となったのが豚だといわれます。
人間は大したものですね。こうして新しい動物を生み出すのですから……面白地名の宝庫能登半島、これを見つけたときは思わずのけぞりました!
何百キロもドライブしてきた苦労も吹っ飛びました。「寝豚」ですからね?
青森県でもあるまいし、多分近くの山が豚の寝そべっている姿に似ていたのでしょうね。決してこのあたりの人がいつも豚のように寝そべっているということではないと思います。
写真20・果たして本物の生きた象が日本の人々の目の前に現れたのはいつなのだろうかはわかりませんが、さぞかし驚いたでしょうね?
今のパンダどころの騒ぎじゃなかったと思います。この浅草の町内会の掲示板ですが、「象」ですよ! きっと住んでいる住民の皆さんは自慢でしょうね。
祭りの半纏にも「象」なんて書いていたら最高ですが、調べてみるとゾウではなく「キサ」と、読むらしく、象潟の事のようですね。でもこうして「象」と表示されるわけですから「ゾウ」で行きましょうよ!
写真21・動物の地名を探していると気が付くのはやはり歴史があるせいなのか、牛や馬が付く地名が多いのです。そして鹿ですね。
この野牛は千葉の中央部、睦沢にある集落の名前です、バス停はありませんでしたが集会所にその名前がありました。田舎の方に行くと電柱の表示板もなく、集落の案内もないとなると、頼りはこの集会所。結構古いままの名前が残っています。
写真22・五目牛? 変わった名前ですね、群馬県は伊勢崎です。
写真23・ちょっと怖い地名ですが、「牛ケ首」能登半島の志賀町です。これが鹿町の牛ケ首だったらもっと面白いのですが、残念です。
写真24・続いては「牛切」岩手県北部の海岸の方ですが、なにやら物語でも出てきそうですね?
答えを求めず想像で終わらせるのも収集を続けるコツです。意味を調べ始めたら全部調べ上げなくてはならなくなります。浅く広く長くなのです!
写真25・骨のつく地名は時々見かけます、次の「鹿骨」が都内の江戸川区にあって親しまれた名前かもしれません。
この福島交通の「牛骨」を、見つけたとたん「鹿骨」を取っていないことに気が付き、あわてて撮影に行きました。こういうことがあるから定番物も確実に取っておかなくてはなりません。
写真26・これがその「鹿骨」です。
傷んだ住居表示板も個人的に大好きです。江戸川区の花の名産地として有名なところなのです。
写真27・干支にも入っていない鹿ですが、神社に行ったりすれば神の使いともいわれ、昔から親しまれた動物です。
ここは「踊鹿」、岩手県遠野市、私のルーツと関係のある「踊鹿」ですが、何と読むでしょうか。わかりますか?
これで「おどろか」、私たちはなまっているので「おどろが」と呼んでいました。住んでいる人たちには普通の地名ですが、変わった面白い名前ですよね?
写真28・出ました一文字の動物の名前、今度は「鹿」。
いいですね? 群馬県です、いたるところにこういう面白い地名の転がっている県です。
写真29・茨城の石岡市の「鹿の子」。まだら模様が由来にでもなっているのでしょうか? きっと、鹿の子どもが頻繁に見られるということなのでしょうね。決してその理由が道路で鹿が車にひかれていたからということではないことを願っております。
写真30・鹿の最後は「鹿の又」。
宮城の仙台で見つけましたが、「また」は分かれ道の事でしょうから、何となくこちらは想像ができそうな地名ですね?
写真31・次は馬です、牛も鹿もたくさんあるのでそれぞれ代表で5か所ずつ紹介します。
「馬立」は千葉の小湊鉄道の駅、写真32の「馬来田」も夷隅鉄道の駅です。
鉄道と馬は木って見切れないご縁がありますから、好感の持てる駅名です。
写真33その鉄道は馬が曳いていたわけですから「曳馬」は最高の名前なわけです。
静岡の遠鉄の駅名です。なんだちっとも地名じゃないじゃないか! とまぁ、そんなに怒らずに馬やヤギでも曳かれてのんびりといきましょうよ、先は長いのです。
写真34・ドライブでの収集旅ですから、ちらっと見て勘違いすることもしばしばです。
でも大概はよい方に傾くからよいのです。この「馬緤」は「馬蝶」だと思って「これはすごい」喜びました。
ちょっと字が違ったのですが、まぁ良くあること、こちらも仮名を振っていただかなければわからない名前でした。
写真35・馬の最後は最後なのに「行馬」。千葉の君津の地名です。
さてさて、これからこの馬はどこまで行くのでしょうか?
そして最後のおまけ。
写真36・は地名ではありません。福島県の高速道路のSAです。気持ちはわかります、南相馬と鹿島の間に作ったのでしょうね。
どちらも立てなくてはならない、どっちかの地名を外すなんてことは申し訳ないと、気を使ったに違いありません。
しかしなにかこう、工夫はできなかったのでしょうか。
「・」を入れるとかせめて一文字分空けるとか、ねぇ?