残念ですが、ワタクシは性格的に少しひねくれていて、人の言うことを素直に受け取ることはなく、始めから疑ってかかる人間なのです。
信頼できる人の意見も何度も言われればやはり命令と感じ、逆らいたくなるのはどちら様もあることでしょうが、段々にそういうことにも疲れるようになってきたみたいです。
だまって人の命令に従っていた方がもしかすると楽なんじゃないのかな? と、ようやく気が付いた59歳の春なのです。
いろいろ面白いものを尋ねてコレクションする日々を重ねているわけですが、誰からも命令も依頼もされているわけではないのでお気楽なわけです。好きなようにしていればいいわけですからね。
日曜日にわが家の奥さんと犬とを連れて各地に収集ドライブをするわけですが、いつも隣に座っているからなのか、この頃奥様が「あ、あそこに給水塔がある!」とか、「長屋門だ!」とか言いはじめまして……。
いままで全然興味がなかったのに、まして外に出て見に行くわけでもなく、もちろん写真を撮るわけでもないのですが、きょろきょろ運転も危ないので、奥様が見つけることが多くなるという現象が起きます。
すると、本家本元のワタクシとしては、やや、面白くないという感情が湧いてくるわけです。
もちろん撮影はしたいのですが、「そっちは今度来る」とか、「今日はちょっと天気が悪いから、またにしよう」とか言ってしまうわけです。
発見したものはほとんど撮影するのですが、確率はやや下がり気味になるわけです。しかも、「なに? 長屋門はもう撮らなくていいの?」とか言われると、ますますカチンとくるのであります。
そこで新たなテーマを見つけるわけです。「どうだ、面白いだろう? こんなのがあるんだ!」と、主導権を握り、王者は復活するわけです。
それがこのごろ楽しくなった「地名」であります。道路標識や電信柱の看板、バス停など、面白そうな地名、難読漢字などを集めるのです。
何度も何度も行った場所でも、別のテーマを重ねて持っていくと新しい発見がたくさんあります。まぁ、それも奥さんのおかげといえばおかげかもしれませんが……。
ということで、今回は全然ひねくれることのない、単純明快な地名です。ひねくれ物の私でもストレート勝負の剛速球地名は大好きなのです。
茨城県は筑波の歩道橋に書いてありました。
ここでは「ササギ」と読むようです。熟した豆を煮てアズキにもする「ササゲ」ですね? 赤飯に使われるなじみ深い豆なのですが、難読漢字でもありますね。こういう地名が大好きです! もうストライクです。
大角豆は熱帯アフリカの原産、若いさやのまま利用するナガササゲ、完熟した豆を利用するタイプとあります。ただ正確にはササゲだと思うのですが……。
千葉県は香取市の辺りにあった、JRバスの停留所。
標識にもありましたが、こっちの方が雰囲気がありましたため採用です。読み仮名を書いていない方が楽しいのですが、間違えると地元の方々に「ダイコンじゃねえんだよ、ここはオオネっつーんだ!」と、怒られそうな気もします。
たくあん用に冬場、冷たい水で大根を洗って、軒下などにずらっと大量の大根を干している風景が大好きでした。田舎のどの農家に行ってもお茶請けはしょっぱい漬物でしたけど、お年寄りの昔話を聞きながらいただく漬物は、それぞれ違った味でおいしかったものです。
茨城の水戸周辺で見つけました。
古代から栽培されてきた五穀の一つ、「アワ」です。原産は東南アジアでイネ科の一年草です。米の取れない土地で「稗(ヒエ)」や「黍(キビ)」などとともに主食として命を繋ぐ役目を果たしてくれた重要な作物です。
この「粟」のついた地名などは結構見つけますが、なかなかずばり、粟だけは見つかりません、珍しいのではないでしょうか? 突然、目の前に現れると「栗(クリ)」にも見えてしまいます。
ここも茨城県。
下妻付近の国道の標識ですが、「クジラ」ですよ。いいですね。なぜなんでしょうね? 私は由来まで調べようともしないで、面白がっているだけなのですが、きちんとした理由があると思います。
かなり離れていますが、この下妻から海の方に向かうと、最近、イルカが大量に砂浜に上がり話題になった海岸線になります。
この地方では、魚屋さんの店先に「イルカ入荷しました」と張り紙が出されます。みんなで食べてあげればいいのにと思ったりもします。
どんと離れて青森県です。
八戸の「サメ」です。JRの鮫駅もあります。港ですから鮫がよく水揚げされたのでしょう。サメの「ふかひれ」などがありますね。マンボウとともに東北では食用にされています。コリコリとした触感で、酢味噌で食べたような思い出があります。
そういえば、故郷の岩手ではイルカを食べたという記憶はありませんね。私はですが……。
少しタイプが違うのですが、愛知県は豊橋の町名です。
そのものずばりの魚町ですね。鯛とか鯖とか魚の種類の名前があると楽しいのですが、これも十分楽しめる名前です。ほかの地方には同じサカナでも「肴町」があります。酒の肴ですね。こちらもなかなか風情があります。
魚町では、すこし町の風の臭いが違うような気がします。
トンネルの名前になっていますが、福島県下郷町の地名になっている「セミ」です。
セミはもちろん夏に鳴く有名な昆虫ですが、何でも食べる中国では、食用や漢方薬に使うようですね?
昆虫食は世界を飢餓から救うと言われますが、私も同感です。できれば食べなくてもいいようにはなりたいものですが、ほかの植物や動物よりも短時間で増殖する昆虫を食用にできるような文化が定着すれば、かなりの人々が飢餓から救われるような気がします。
まぁ、私もこれまでに蜂の子や、イタドリの茎に巣食うイタドリムシの幼虫を食べてみました。
味はなかなか。立ちふさがる問題は見た目のイメージですね! といっても、そこが一番重要なんでしょうけど……。
とまぁ、今回は地名で主に食べられるものの名前を挙げてみました。
ストレートでドスンと来る名前ばかりです。ひねくれ者の私でも、こういう地名は単純明快、そのものずばりで大好きです。
それにしてもやはり、勉強はしないとダメですね。根本的に漢字を知らないと、良さも珍しさもわからないわけですから……。