日本全国、さまざまな地名がありましてとても楽しいものです。
正式といったらいかがなものかと思いますが、住居表示の地名、お役所に届ける時の住所は無数にありまして、字(あざ)小字(こあざ)を含めますと膨大な数だと思います。
平成の大合併で昔の町村名が消えましてさびしい限りですが、都市と地方にかかわらずバス路線をゆっくりドライブしますと、とても読めそうもない難しい名前や面白いバス停をちょくちょく見かけます。
地名とも違うバス停の呼び名は、もちろんそこの地名も多いのですが、今では呼ばれなくなった古い地名や、役場、会社、商店名、橋の名前などなどその地に根付いて親しまれたものが多く、集めてみると楽しいものです。
一時期、採算の取れない路線が減ったりしましたが、最近は町や村で運営するコミュニティバスも増えまして、楽しみが増えました。今回は動物の名前が入った物を集めてみました。
鹿や馬、牛は各地にあります。バスを利用する人にとっては当たり前のバス停も、何かテーマを持って集めると楽しいものです。
これも宮城のミヤコーバス「赤牛海岸」もちろん三陸海岸沿いです、見つけた時は引き返して撮影しました。
東北では牛を「ベゴ」あるいは「ベコ」と言います。「牛久」「小牛田」など牛のつく地名は限りなくありますが、ここは色の名前「赤」との組み合わせですから、牛の代表とさせていただきます。
福島県の民芸品に張子の赤ベコがありますが、昔から親しまれている証拠ですね? 今は和牛といえば黒い牛ですが、赤牛という茶色で角の長めの牛も、農家でよく飼われていたものです。
茨城県行方市の関鉄グリーンバスの「四鹿」です。
どこかに三とか五などの数字と鹿の組み合わせがあるといいですね。ちなみに岩手には「踊鹿」(おどろか)があります。鹿も「しし」猪も「しし」カモシカも「しし」と呼びます。正確にはそれぞれかのしし、いのしし、あおししですけどね。
千葉交通の「獅子穴」は、千葉県冨里市にあります。
東京には「狸穴」という有名な町がありますね。鹿のところで書きましたが獣は「しし」なわけです。
ライオンがいたわけではありませんからね。郷土芸能にある「しし踊りは」鹿踊りです。この「獅子穴」ももしかするとそうなのかもしれませんね。
同じく千葉県茂原市、小湊鉄道「犬成」です。
千葉には南総里見八犬伝の影響かは分かりませんが、銚子の「犬若」をはじめ、「犬」という字が付く地名が多くあるようです。
福島県は小名浜の「兎渡路」です。いい名前ですね? といったところでなんと読むのでしょうね?
「ととろ」だと、住民は楽しいでしょうね? そういう呼び名までちゃんと調べないのが、いい加減なマルチコレクターの限界でありまして、とりあえずこの地名が面白いな、と思えればいいわけです。
こういう名前に出会えたという幸運を喜べばいいわけで、知らなかったら知らないだけですから、それが運命なのです。
コレクションは気楽にやりバリエーションを広げて、一つに余り固執しないのが長続きする一番の秘訣です……というのがわたしの言い訳です。
これも千葉県、我孫子市にある東武バス「雉子打」。
鳥の名前に入りました。一応「雉(きじ)」は国鳥ですからね。もっとあっていいものかもしれませんが、あまり見ることはありません。「キジウチ」といえば登山愛好家の仲間で「用便に行く」ということらしいのですが……。
長野県は戸隠、川中島バスという名前も良いですが、ここは「百舌原」です。かなり山を登った途中にあったバス停ですが、きっとモズがたくさんいるんでしょうね?
千葉県は難読の八街市(ヤチマタ)です、「鴫沢台」。実は私のランニングコースの途中にあるのですが、「鴫」は始め「鴨」の書き間違いじゃないのか? と思っておりました。申し訳ありません。ちょっと調べたら「シギ」というちゃんとした漢字でした。
ここは有名な青森県八戸市の「鮫」、「サメ」です。そのものずばり、こういう地名が大好きです。
鮫駅の大きな口を開けたジョーズの顔出しのそばにあります。千葉には鮫川という川が流れております、嫌われ者の鮫ですが、東北では刺身が酢味噌でよく食用にされますし、かまぼこなどの材料には利用されていますね。
きっとたくさんのサワガニでもとれたんでしょう。参考に青森県で見つけたここに負けないインパクトのある橋です「昆布掛橋」……バス停は見かけませんでしたが、「カニ取橋」に負けない橋名でしょう?
しかし変わった地名を探す撮影収集旅ですので、相変わらずのきょろきょろドライブですが、ちょっと気になったらとりあえず何でも撮影しておくことをお勧めします。
後で分類整理するときに、動植物名、数字、難読、一文字、面白い名前などなどとゆっくり分けます。その時間がたまらなく楽しい時間になります。「あーあの時撮っておけば」と、分類しているときに悔やむことも多いものです。単に一つでは何とも面白みがなくても、例えば今回の「赤牛」など、これを保存しておかないとあとで青牛や黒牛などの地名やバス停を見つけた時に口惜しくなるものです。
捨てるのはいつでもできます、まずはコレクションしておくことが収集のコツなのです。
結局見ていただくとお判りでしょうが、わたしのコレクションは住んでいる千葉県、近くの茨城県、帰省するときの行き帰りに一般国道を通ることの多い宮城、福島、そして岩手県が多くなるわけです。
地名だけでなくさまざまな面白そうなものを求めての旅ですので、はっきりした目標を持たずにドライブしているので、偏ってくるのは当たり前ですから、ご了承ください。
マンホール、看板から古い街並み、給水塔、灯台、ダム……忙しいのです。