ソトノミスト「隅田川・新神谷橋」をゆく


本日のソトノミストは、地下鉄南北線「王子神谷」1番出口を降りた。
目の前の「北本通り」の北側に目をやれば、寒空の向こうには家具のニトリの大きな看板が見える。
そして正面には、大きな団地が。

ここは、王子五丁目団地。

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かつての十條製紙(現、日本製紙)の工場跡地が、この団地に生まれ変わったのは1976年のことらしい。
14階建て2221戸もある団地で、食料品店から理容室、自転車屋、はたまた保育園から中学校(現在は日大豊山中の仮校舎)まで、様々な店舗施設を擁するスケールの大きな団地なのである。

団地と同じ敷地内にはこの他、日本製紙の倉庫があってその業務が行われてきた。
しかし2014年8月に倉庫は売却された。
倉庫の売却に伴って、単線のレールをゆったりと走る貨物列車の姿は見ることができなくなった。
廃線となったJR貨物の北王子線は、田端信号場駅と北王子駅間4キロを結ぶ貨物専用線。ここで運ばれていたのは「紙」。
終着駅である北王子駅は倉庫の中にあり、東北で生産された紙を、毎日のように運び入れていたという。
運行を終えたのは同年3月14日。「洋紙発祥の地」王子で90年にわたって製紙産業を支えてきた鉄路の名残惜しい廃線……。

 

 

さて、ソトノミストは本日のアテを求めて歩き出す。

北本通りをニトリ方面に少しだけ歩く。
「神谷一丁目」を左に曲がれば、やがて見えてくる商店街の入り口。

ここ東十条銀座商店街は、下町風情が残る商店街。およそ150店が軒を連ねる。

 

 

緑色の看板に赤い文字が目印の「餃子の栄泉」は、昭和43年の創業より餃子ひと筋のお店。
テイクアウト専門である。
生餃子を買って行かれるご常連さんもいる。

 

 

ひとつひとつ手作りの餃子。聞けば、一日に1,000や2,000は包むとお店のお姉さん。
焼き餃子を注文しよう。
焼き上がりには時間がかかるので、商店街を散策。

頃合いを見計らって、注文した餃子を取りに行く。
焼きたての餃子を受け取り、マイ保温バッグ(上州屋で購入した発泡スチロール。無論保冷にもなる。青い肩掛けバンド付き。)に入れて目指すは隅田川。

環七通りと北本通りの交差する「宮堀」を右へ進む。
この新神谷橋は、荒川から分岐した隅田川の最上流の橋である。

立体交差の上を行けば新神谷橋を渡って、川向こうに着いてしまう。
ここは、下へと進もう。

すぐに川は拝めない。まずは堤防がお出迎えだ。

 

 

ちょっと堤防沿いに歩けば階段が見つかり、ようやく川沿いの広場へ到着。

しばし眼前の、ゆったりとした流れを湛える川を眺める。
昔々はここに「宮堀の渡し(神谷の渡しとも)」があったそうな。

 

 

遠くからフルートの音色が聞こえてくる。
川岸では釣りを楽しむ地元の方もいるし、楽器の練習をする方もいるのだ。

フルートの紳士に声を掛けてみる。
この場所がお気に入りで、自転車でここへ通っているらしい。
10年吹いているが上手くならないと仰るが、いやいやとんでもない。
美空ひばり「みだれ髪」の切ないフルートに聴き入ってしまった。

 

 

紳士に別れを告げ、少し川沿いを歩く。
やがて、手ごろな段差に腰かける。

 

 

ニトリの大きな看板を背に、持参したマグボトル(サーモス真空断熱ケータイマグ0.25L)をやおら、あおる。
やや冷えた水割りが喉を流れる。

保温バッグの蓋を開け、栄泉の餃子に箸を付ける。
店でもらった特製しょう油をかけて食せば、薄皮の中の具は細やか。

 

 

ふわっとして、香ばしい焼き面がサクッ!噛めば閉じ込められていた旨い汁があふれ出てくる。
水割りが進んでしまうソトノミストであった。


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